特集社員インタビュー

今回は、マリモ・アセットマネジメント株式会社代表取締役社長の北方隆士と投資部長の德納優収に
マリモ地方創生リート投資法人の特徴や今後に関してインタビューを行いました。

マリモ・アセットマネジメント株式会社代表取締役社長 北方 隆士 × マリモ・アセットマネジメント株式会社投資部長 德納 優収

“2年連続となる公募増資を実施しポートフォリオを強化”

Q. 01 近年の経営環境と主な実績について

北方

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行し、現在は地方の不動産物件はすでにコロナ前の水準以上に価格が上昇しています。

 こうした中、神奈川県横浜市の「アルティザ都筑中央公園」を2期に分割譲渡し、その譲渡益全額を分配金として投資主に還元しました。さらに2023年1月には、第4回公募増資にて合計13物件(111億2,000万円)を取得しました。平均鑑定NOI利回りが6.0%、償却後でも4.8%と比較的高い利回りを意識しながら資産規模を拡大したことを、投資家の皆様に高く評価していただきました。

 また、2月に「アルティザ仙台花京院」がCASBEE不動産評価認証Aランクを取得するなどサステナビリティを意識した経営を行っています。

Q. 02 他のREITとの差別化ポイント

北方

 レジデンスと商業施設をメインアセットとし、ホテル、オフィス、物流施設なども含めた総合型REITであることと、地方を中心に全国にバランスよく分散投資を行っていることです。これらにより「相対的に高い投資利回り」かつ「安定的な収益」の確保をしているところが、他のREITとは違う大きな差別化ポイントだと思います。

 地方にREITというスキームを使い投資することで、例えば商業施設では物件の「質」が長期間維持でき新たな雇用が生まれるなど、地元の活力につながり、地方から日本を強くしていく「地方創生」に貢献することが私たちの理念です。

Q. 03 高い利回りを生み出すことができる理由

北方

 一つの物件に対する緻密な調査と、投資部の努力です。ほとんどが入札ではなく売主との相対取引によって、適切な価格で購入してきました。その結果が、全物件の平均鑑定NOIが6.3%という利回りを実現しています。REITの中ではトップクラスであり、今回の公募増資時に計算したトータルリターンは130%台であり、上場時に購入した方は、既に元本を回収して利益が出ています。こうした努力の積み重ねが、投資家の皆様に対する高配当につながっています。

“全国の投資家から資金を預かり地方創生を目的に投資する”

Q. 04 上場からの7年間を振り返って

北方

 マリモ地方創生リート投資法人は2016年7月、東京証券取引所不動産投資信託市場に上場しました。我々の基本理念は、“地方から日本を強くしていく”ことです。地方のレジデンス、商業施設、ホテル、オフィス、物流施設及び駐車場に投資し、地域社会へ貢献することにより、人が動き、経済が動き、都市そのものが動きだし、地域活性化に繋がるものと考えています。上場REITであれば機関投資家だけでなく個人でも投資が可能で、全国からの投資も集まりやすくなります。また、地方物件に投資すれば、資金がより地方に還流することになります。

 資産規模161億円と小さなスタートでしたが、「マリモ」の名の通り着実に成長し、6年半の間、外部成長と資産入替えにより、現在、約3倍となる資産規模500億円を達成するまでとなりました。

德納

 当初は地方中心の投資方針に懐疑的だった機関投資家からも、東京圏の物件よりも高い利回りや、上場以来稼働率97~98%台を維持する安定的なトラックレコードが認められ、投資していただけるようになりました。

 地方には大規模物件は少なく、大部分が10億円から20億円程度の物件のため、今後はもっとスピード感を持って投資物件を増やしていくとともに、キメの細かな内部成長を地道に積み重ねることでパフォーマンスをさらに高めていきたいと考えています。

Q. 05 パフォーマンスについて

德納

 パフォーマンスについては、上場以降、高い稼働率を維持していますが、資産規模拡大のスピード感でいくと、まだ満足してはおりません。地方には100億円規模の大規模物件が少なく、10億円から20億円程度の物件をコツコツと積み上げていく必要があります。今後はもっとスピード感を持って投資物件を増やしていくとともに、居室が退去されるたびに適正な賃料設定や、共用部分の電気をLEDに変更するなどキメ細かな対応を積み重ね、地道な内部成長を継続していくことでパフォーマンスを高めていきたいと考えています。

Q. 06 投資部長としての事業方針・投資戦略

德納

 投資部長に就任してまもなく5年目ですが、リート立ち上げ時から携わっていることもあり、代表の北方とは思い描く方向性は共有できています。最終目標は47都道府県全てで物件を保有することで、さらなるリスク分散・アセット分散を目指します。私自身の役割は一つの物件だけを見るのではなく、全体を見ながら3年後5年後のありたい姿を描き、ポートフォリオのイメージを近づけていくことだと考えています。

 また、第3回、第4回公募増資からは、我々で情報を取ってきた物件の割合が多くなりました。そこで、物件によって地位譲渡、三為契約、スポンサーからのウェアハウジング、信頼できるお客様との直接取引など、どのスキームが最適か、適切な価格で譲渡していただけるかを常に判断・交渉するようにしています。

“スピード感を持った投資と地道な内部成長の積み重ねによりパフォーマンス向上に努めます”

“あらゆる人脈を活用して有望な物件情報をいち早く入手”

Q. 07 物件情報の収集方法と投資の判断基準について

德納

 地方の物件情報の収集は、仲介業者様からいただく情報が基本ですが、全国の二種免許を持つ業者様のリストをベースに一件一件電話をかけて、オーナー様に直接働きかけるなどの地道な活動も行っています。また、あらゆる人脈を活用し、まだ市場に出ていない物件情報をいち早くつかむことが重要です。こうして投資部が集める物件情報は年間2,000件、スポンサーのマリモでは、年間約2万件にのぼります。

北方

 投資する物件の条件として、基本的に安定性に重点を置いています。レジデンスでは最低限80%以上稼働しているか、ホテルでは固定賃料7割以上で変動賃料が少ないか、そのほかテナントの代替性などを基準に判断します。

德納

 またアセットごとに都市規模や周辺人口などの基準も定めていますが、意外と重要なのが担当者の熱量です。何としてもこの物件を買いたいという強い想いが、売り主様との交渉の席で大きな役割を果たすと考えています。

Q. 08 現在、特に注目している地方について

北方

 一つは熊本エリアです。台湾のTSMCが進出し、大規模な半導体工場が作られており、関連産業も含めて1万人以上の雇用が創出されると言われています。我々は以前から熊本市に注目しており、すでに約1年前にレジデンスを購入しています。もう一つは、北海道エリアで、半導体メーカーのラピダスが新千歳空港の近くで新工場建設を予定しています。我々も今年の1月に、千歳市にロードサイド店舗のドラッグストアを購入したところです。

德納

 そのほか北陸や四国など、まだ物件を保有していないエリアがあります。これまでも、レジデンスやオフィスビルなどの紹介はありましたが、利回りや築年数などの条件が我々の基準と合わず購入に至らなかったため、将来的には開拓していきたいと思っています。

Q. 09 資産規模500億円達成の要因

北方

 一つには、スポンサーのマリモからの多大な協力があります。デベロッパーであるスポンサーの豊富なパイプラインを活用できることが強みです。また、同規模の他のREITと比較しても、上場以降の投資口価格が上昇しており、公募増資をしやすい環境にあったことです。さらに、新たにサポート協定を締結したアルファコート様の開発物件も購入させて頂くようになりました。もう一つは、先程も話にありましたが、第3回の公募増資からは、我々が独自ソーシングで購入した物件の数が、スポンサーからの物件数を上回ったことです。

 このようにスポンサーのマリモ、今回提携したアルファコート様をはじめ多くの皆様のお力添えをいただきながら我々の独自ソーシングを拡大したこと、さらに運用の段階では投資口価格や稼働率のトラックレコードの安定性が投資家の皆様から評価されるなど、さまざまな要素が複合して500億円の達成につながったと考えています。

“全国の物件へと投資を拡大し資産規模1,000億円を目指す”

Q. 10 今後の目標について

北方

 当面の目標であった資産規模500億円を達成しましたので、これからは資産規模1,000億円を目指します。

 そのためには、スポンサー開発物件を中心としながらも、アルファコート様のように、地方で活躍している有力なデベロッパーや不動産を所有している企業と新たに提携し(弊社では「地方連合構想」と名付けています)、地方の不動産の流動性、人材の交流を行い、Win‒Winの関係を構築していきたいです。また地方連合構想の中で、開発においてもスポンサーとのJVの連携などを目指していきたいと考えています。

 今後も、一つ一つの物件を丁寧に精査して、地方の活性化に資するような投資を地道に積み重ねることで資産規模を拡大し、1,000億円の目標を達成したいと考えています。

Q. 11 今後の施策について

北方

 北海道のアルファコート様のような、“地方の雄”といえるような企業が、他のエリアにも数多く存在します。チャンスがあれば、このような企業の方々とお話しをさせていただき、地方から日本を強くしていこうという、我々が描くREITの理念をご理解して頂いた上で提携を行っていきたいですね。「地方創生」という理念に共感し、そして物件も供給していただけるような企業様と一緒にWin‒Winな形でつながれる、地方を応援してくれるパートナーを増やしていきながら資産規模の拡大につなげていけたらと思います。

德納

 成長スピードが今の課題でもあるのですが、現在3人の投資部の人員を単純に30人にしたら10倍購入できるかというと、そういうマーケットではありません。やはり無理せずコツコツと物件を集めていくことが我々にとって必要なのです。そういう意味では、サポートして頂ける会社を、いかに増やしていけるかが重要になります。

 先日スポンサーであるマリモがイオンモール株式会社と資本業務提携を行いましたが、やはり理念が合致する相手であれば、将来的に長くお付き合いできるのだと思います。単純に物件を売るだけでは、単発の関係で終わってしまいます。繰り返しになりますが、地方から日本を強くしていくという我々の理念に共感し、共有していただける相手と、短期ではなく中長期的にパートナーを組める会社を探していく必要があると思います。

Q. 12 投資家の皆様へ

北方

 将来の1,000億円達成という目標に向けて、引き続き資産規模の拡大に注力していきます。一口当たりのNAVは11万3,000円台からスタートし、今回の公募増資により足元の実績では14万円台に上昇しています。その一方で、分配金は比較的安定した配当を続けてきました。我々のREITとしての強みである高い分配金と利回りをこれからも継続していくためには、やはり基本である物件を一つ一つ精査し、リスクとリターンのバランスを考えて優秀な物件を厳選して取得いくことが大切です。こうした誠実かつ着実な取得姿勢を堅持しながら、「地方創生」という理想の実現に向けた投資を行ってまいりますので、今後とも変わらぬご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

“地方創生の理念を守りながら効果的な投資を積極的に行い資産規模1,000億円を目指します”