第11期は出力制御の実施回数が前年同期比で大幅に減少し発電電力量へのマイナス影響は緩和されましたが、期中を通じた全般的な天候不良により日照時間が予想対比で少なかったことにより実績発電電力量が予想発電電力量を下回った結果、営業収益は期初予想を下回りました。営業費用では、修繕費の増加額が大きかったことから、専門家報酬の減少分ではカバーできず営業利益においても期初予想を下回りました。一方で、営業外損益においては受取保険収入の計上分が大きかったことにより、経常利益および当期純利益ではそれぞれ期初予想を上回って着地しました。最終的には、営業収益は 3,715 百万円、営業利益は 1,383百万円、経常利益は 1,214 百万円、当期純利益は 1,213 百万円となりました。当期純利益が期初予想を23百万円上回ったことから、一口当たり利益分配金は期初予想比で61円増額し3,138円となりました。また、利益超過分配金については同額を減少し、1口あたり分配金は期初予想と同額の3,750円といたしました。
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第11期の運用実績についてご教示ください。
ロシアによるウクライナへの侵攻開始から1年が経過していますが、その後の資源価格の高騰、為替相場の変動や市場金利の上昇等、市場環境の変化による資産運用への影響があればご教示ください。
2022年2月のロシアによるウクライナへの侵攻開始後の影響としては、エネルギー資源価格の高騰による火力発電のコスト増、電力料金の値上りおよび電源構成への影響等がありましたが、本投資法人については現時点まで運用実績への影響はほとんどありませんでした。理由としては、固定価格買取制度により本投資法人が保有している発電所については売電価格が固定されているため、営業収入への直接的な影響がないためです。また、費用面においても、大部分の費用が固定費または為替相場の影響を直接的に受けることがない費用のため、同様に影響はほとんどありませんでした。更に、市場金利の上昇に関しても、本投資法人の有利子負債は現在100%固定金利での調達となっているため、影響は生じておりません。このように、本投資法人の資産運用については、マクロ環境の変化を受けにくいものと考えております。
直近のESGに関する取組についてご教示ください。
本投資法人は2017年の設立以来、資産運用会社であるカナディアン・ソーラー・アセットマネジメント株式会社(CSAM)と共にESGに配慮した資産運用を実践してまいりましたが、事業を行うにあたっては、気候変動問題はリスクや機会になりうる重要な経営課題と認識しております。これまで2019年 8月にはCSAMによる国連責任投資原則(UN PRI)への署名、2022年2月には気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)提言への賛同表明に加え、今般、2023年2月にはESGレポートを発行いたしました。ESGレポートにおいては、本投資法人にとって特に重要性の高いESG課題(マテアリティ)を選定し、今後の活動を通じてマテアリティ項目にかかるKPIの設定および具体的施策を実施することで目標達成及び更なる向上にむけた取り組みを推進してまいります。
再生可能エネルギーを取り巻く制度面について直近の動向をご教示ください。
これまで協議されていた重要な制度変更の中で、発電側課金について直近で状況の変化がありました。発電側課金とは、送配電網の維持・管理のため、これまで小売事業者が 100%負担していた託送料金の一部(10%)について、再生可能エネルギーを含む発電事業者も発電規模に応じて負担するという制度です。当初は 2021年度内の制度確定、2023年度からの運用開始が想定されていましたが、2021年 11月の第6次エネルギー基本計画で「導入の要否を含めて引き続き検討をすすめる」とし、制度設計の1年延期が決定されました。その後、2022年11月開催の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会において「既認定FIT/FIP案件については、国民負担を考慮しつつ、賦課金で調整または適応を除外等」で検討を進めていく案が挙げられました。最終的には、2022年12月開催の同委員会において、「既認定FIT/FIP案件に関して、「FIT期間は全免とする」案が示されました。本制度については今後パブリックコメントを経た後、2023年3月までに制度内容が確定され、2024年度からの運用開始することが予定されています。今回の決定が最終的に確定すれば、これまで懸念されていた「追加的なコスト負担」がFIT期間中はなくなることから本投資法人の今後の運用面における不透明性が解消されることとなります。
再生可能エネルギーを取り巻く環境
日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指す目標を設定しました。
政府の方針及び予測等を踏まえ、再生可能エネルギーの電力供給量が大きく増加する可能性があると本投資法人は考えています。
カーボン・ニュートラル実現を目指すにあたって
2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、「S+3E(注)を大前提に、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再エネに最優先の原則で取り組み、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を即す」とされました。具体的な取組として、①地域と共生する形での適地確保、②事業規律の強化、③コスト低減・市場への統合、④系統制約の克服、⑤規制の合理化、⑥技術開発の推進を挙げました。
2030年政府目標の電源構成比率は36〜38%が見込まれており、その中でも太陽光発電は最も比率が高く14〜16%とされていることから、当面は太陽光発電の果たす役割が重要となるといえます。
再生可能エネルギーの構成比率 目標 36〜38%、 太陽光発電は最上位の14〜16%
日本における温室効果ガスの排出量内訳(注)
日本における温室効果ガス排出量全体において、電力由来のCO2排出量は35.7%を占めており、再生可能エネルギーの導入及び普及によるCO2排出量削除への寄与が期待されている。
その障壁となる規制等を総点検し、必要な規制見直しや見直しの迅速化を促すことが不可欠であると言う判断の下、政府は2020年11月にこうした規制改革をスピード感をもって実現するために「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」を設置し、①立地制約、②系統規制、③市場制約、④地域との共生、⑤その他の分野で、多くの規制緩和・撤廃の要望が出され、検討が始まっています。
ESG金融と日本のカーボン・ニュートラル政策について
従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)と言う非財務情報を考慮して行う投融資はESG金融と呼ばれていますが、世界的に注目されているESG金融が、国内でもここ数年顕著に拡大して来ています。
本投資法人の投資口への投資、銀行からの融資やグリーン・ボンドの発行も、このようなESG金融の好影響を受けていることは言うまでもありません。
ESG金融が質的、量的にも進化・拡大するにつれて、グローバルな企業を中心に発行体も、TCFDと言った気候変動関連リスク及び機会の開示やRE100のように脱炭素に向けた目標設定に積極的に対応する動きが増加しています。換言すれば、投資家や銀行もこうしたESGに係る取組姿勢を積極的に評価し、企業もこうした取組を通じた企業価値の向上を強く意識し始めています。
国内では、菅総理が2020年10月に所信表明演説の中で2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指す目標を設定して以来、日本政府の脱炭素社会に向けての取組が加速しています。
このような新しい潮流の中で、先進的なグローバル企業の中には、その取引先にも目標設定や再エネ調達等を要請するところも出て来ており、脱炭素社会の実現に向けての動きが、企業経営の戦略に影響を与え、また、新たなビジネスチャンスの創出につながって来ています。