17決算・運用状況のご報告(資産運用報告)

HCM安定の秘密

本投資法人についてもっと詳しく知っていただくための特集をお届けします。

施設特集

新潟リハビリテーション病院

回復期の重要性が増す地域医療

実績に裏打ちされた強みで貢献していく

2017年にHCMが組み入れた新潟リハビリテーション病院。
新潟県を地盤とするNSGグループの医療法人愛広会が運営する同病院では、
地域のニーズに応えながら医療を提供しています。その強みに迫ります。

医療法人 愛広会
経理部 部長

尉生

株式会社NSGホールディングス
常務取締役 兼 財務本部 本部長

医療法人 愛広会 理事

俊史

NSGグループ
医療事業本部 本部長

医療法人 愛広会 専務理事

宣行

教育事業からはじまり、111法人を擁するグループへ

NSGグループの成り立ちと概要についてお聞かせください。

松村 NSGグループは新潟県全域と福島県郡山市を地盤として、学校教育、医療福祉を主たる事業としています。もともとは新潟市内の神社の家系で神主をしていた現会長で創業者の池田弘が境内に学習塾、語学学校など作りNSG(新潟総合学院)グループとしてスタートしました。
1976年の創立当初から地方創生の実現を掲げ、さまざまな事業を展開し、地域活性化の取組みを行なっています。時代のニーズに応え事業を拡大、現在、NSGグループは111法人、従業員数約1万2千人を数えるまでに成長しました。
学校教育、教育関連事業では、大学院大学を含めた大学4校、専門学校34校、高校2校の他にも、学習塾、各種スクールなどを展開し、15万人を超える方が学んでいます。医療介護福祉事業では、3つの医療法人と3つの社会福祉法人のほか福祉関連の事業会社も複数運営し、年間1万5千人を超える患者さん、利用者さんにご利用いただいています。
また、これら事業に付随する形で給食、商社、不動産・建設などの各事業、さらに創業から支援しているスポーツ事業としてアルビレックス新潟をはじめとするスポーツ、エンターテインメント事業においても地域の盛り上げに貢献しています。
2020年には2代目として池田祥護がグループの代表となりました。新たなブランドスローガンとして、NSGの頭文字から「New Sustainable Growth(新しい持続可能な成長を)」を掲げ、グローバルな展開を視野に地球全体の課題解決に資する事業創造によって、経済的な成長だけでなく地域が活性化し、豊かさと幸せを感じられる持続可能な新しい成長の実現を目指しています。

リハビリ病院の実績により、県立病院の運営を担うまでに

愛広会のグループ内の位置付けと事業規模について教えてください。

松村 NSGグループが医療分野に進出する経緯となったのが、93年の医療法人愛広会の設立です。2000年の介護保険制度スタートに合わせて介護老人保健施設、介護事業を展開するなかで、地域医療、介護の基幹法人としてグループ内における愛広会の事業が確立されていきました。現在、新潟リハビリテーション病院、新発田リハビリテーション病院の2病院と6つの介護老人保健施設、2つの介護付き有料老人ホームのほか、グループホームやサービス付き高齢者向け住宅、訪問サービス・居宅介護支援事業も広く展開しています。

2024年度からは県立吉田病院の運営に参画されるそうですね。

山下 県立吉田病院はこれまで急性期医療を含む地域の基幹病院の役割を担ってきましたが、高齢化の進展や人口減少を背景とした地域の医療ニーズの変化を受け、燕市や三条市など県央地域における医療機関の役割分担と連携について検討が進んだ結果、高度・専門的な医療は新設される県央基幹病院に集約し、吉田病院は回復期を主体とした入院機能など地域における高齢者医療の中心的役割を担うことになりました。
そうしたなか、新潟リハビリテーション病院の運営実績やNSGグループを背景とした医療従事者育成支援機能が認められる形で、私たちが吉田病院の指定管理者に選ばれました。20年以上にわたりリハビリに特化して、患者さんの在宅復帰に力を尽くしてきたことが実を結んだと言えるのではないでしょうか。

県立病院の運営ですから、重責がかかります。

山下 県立の名を冠する吉田病院は、以前は地域で1、2を誇る規模の病院でした。それだけに地域の期待はとても大きい。急性期病院から患者さんを引き継いで、在宅にお戻しするという役割はとても重要なわけです。ただ、それは私たちがこれまでやってきたことでもあり、運営に関して大きな不安はありません。

回復期と急性期 
地域のニーズに応える姿勢

新潟リハビリテーション病院について、詳しく教えてください。

山下 病床数は一般病床108、療養病床60の計168床で、外来の患者さんが1日に230人、職員は280人ほどです。当院は、NSGグループで初となる大学「新潟医療福祉大学」の開学時期に合わせ、2001年に当時老人病院だった尾山病院をリハビリテーションに特化した病院として組織改定したもので、主に回復期機能を担っています。例えば、脳血管疾患の方が急性期の治療後に状態が安定したら、こちらへ移っていただき80〜90日ほど入院してリハビリを集中的に行います。スタッフが付き添い1日7〜8単位、時間にして2〜3時間のリハビリ、そのほかに個人別のリハビリプログラムにも取り組んでいただきます。
メインはもちろんリハビリですが、整形外科領域の急性期医療も行なっています。当院では年間320件ほど救急患者を受け入れていますが、なかでも整形外科については、当病院の院長が整形外科医でもあり、手術環境も整っていたことから新潟大学整形外科とも連携して、手術治療の患者さんを受け入れています。

知識・技術向上のため研鑚を積んだリハビリスタッフが、多面的なリハビリを提供している

新潟県の医療需要は今後回復期が最も多くなると推計されています。

山下 私たちが果たす役割が、ますます大きくなりますね。ただ、回復期の重要性はもちろんですが、他方で「病気にならないこと」も大きなテーマだと思います。人間ドックや健康診断を行う健康管理センター、疾病予防のためのメディカルフィットネス施設なども併設しています。

新潟リハビリテーション病院がHCMに組み入れられて5年。どのような変化があったでしょうか。

松村 資産を有効活用し、より機動的に投資のチャンスを捉えたいとHCMに所有してもらってから5年経って感じるのは、ステークホルダーの方々に対する私たち自身の責任意識が強くなっているということ。経営層はもちろん幹部職員に広がり、それがスタッフにも伝わって、全体として経営参画意識が高まっていると感じます。
経営会議では、経営スタッフだけでなく医師も積極的に参加し、コンセンサスを取り、それが現場の取組みにつながっています。

最新医療と技術を活用したメディカルフィットネス施設「ロコパーク」を併設

山嵜 私はHCMとの情報交換に大きなメリットを感じています。設備や修繕について、私たちだけでは情報が限られます。その点、HCMは良き相談相手として第三者の目で見てくれますし、この5年の間に外壁も含めて計画的に改修を実施してもらいました。経営と所有の分離ができたことで、私たちは経営により注力できるようになりました。

強みを生かした先進医療とさらに深く根ざす地域医療を

新潟リハビリテーション病院の最近の取組みについてお聞かせください。

山下 急性期医療へ注力するにあたり、新潟大学と連携して手術症例に積極的に取り組んでいます。そのなかで手術支援ロボットを導入し、手術の正確性と安全性、人工関節の耐久性の向上の実現を目指しています。これは患者さんの利益にもつながります。
このほか国際骨粗鬆症財団から、2016年に日本ではじめて骨粗鬆症治療の認定医療機関として登録され、19年には最高位の金レベルに認定されました。昨年の診療報酬改定では、私たちが取り組んできた「骨折リエゾンサービス」が加算対象となり、取組みが認められた思いです。

最後に今度の展望と、投資主の皆様へのメッセージをお願いします。

松村 医療再編が進むなか、私たちの強みを生かして、さらに地域に認めてもらえるよう地域医療に貢献したいと思います。また、先端的な分野にも積極的にチャレンジして、投資主の皆様のご期待に沿うような経営をしていきたいと思います。

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