「がんばりすぎない勇気」を次の時代へ
新体制で挑む、
サニーライフの現場改革
1990年の設立以来、首都圏を中心に全国166施設を展開する川島コーポレーション。
利用しやすい価格帯と手厚いケアを両立し、着実な成長を続けてきた。
2026年2月に就任した川島栄吾新社長が進めるICT活用や人材育成など、新体制での組織改革に迫ります。

株式会社川島コーポレーション
代表取締役社長
川島 栄吾
規模のメリットを生かし、理念を貫く
まずは御社の概要と、今日まで成長を続けられた理由をお聞かせください。
川島
当社の設立は1990年9月ですので、今年で36年目となります。現在は全国で166施設を運営し、従業員数は7,840名まで増えました。
これまでM&Aを行うことなく、すべて自社開発で一歩一歩拠点を広げてきました。ここまで成長できたのは、「利用しやすい価格帯で、手厚いケアを提供する」という一貫した姿勢で、高齢化が進む日本社会のニーズに応えてきたからだと考えています。
御社が長年掲げているブランドメッセージ「がんばりすぎない勇気」には、どのような思いが込められているのでしょうか。
川島 ご自宅での介護に限界を感じながらも、「できることなら最後まで自分で面倒を見なければ」と頑張りすぎてしまい、肉体的にも精神的にも追い詰められてしまうご家族は少なくありません。老々介護も深刻な社会問題になっています。私たちは、そうしたご家族の負担を、経済面と介護の両面から少しでも軽くしたいという思いがあります。
入居一時金を無料とし、ご本人が受給されている年金に、ご家族が少し生活費を補うことで無理なくご入居いただける価格設定にしているのも、そのためです。私たちがベンチマークにしているのは、「特別養護老人ホーム(特養)」です。最近は特養でも自己負担額が高くなる傾向がありますが、手厚い人員配置によるサービスを提供しながら、特養と比べても利用しやすい価格帯を維持する。それが当社の基本的な考え方です。
コストの高い首都圏でも、手ごろな価格帯を維持できる理由はどこにありますか。

川島 大きな理由の一つが、全国166施設というスケールメリットです。毎日使う食材や各種資材については、この規模を生かして本部が一括して価格交渉を行っています。バックオフィスを含め、運営にかかるコストをできる限り抑え、その分を利用料金に還元しています。
見学に来られたご家族から「なぜここまで安いのか。食事代が別なのではないか」と驚かれることもありますが、当社の料金には家賃、管理費、食費がすべて含まれています。昨今の物価高騰の影響もあり、まさにギリギリのところで踏ん張っているのが実情です。
ただ、価格を抑えるからといって、サービスの質や働くスタッフの待遇を落とすわけにはいきません。各種補助金も活用しながら給与水準の改善を進め、他社と比べても遜色ない、あるいはそれ以上の待遇をしっかりと担保しています。
膨大なデータが支える食へのこだわり
入居者様の安心感を支えるうえで、特にこだわっているサービスは何ですか。

川島 施設での生活において大切にしているのが「食事」です。1日3回の食事は、入居者様にとって毎日の楽しみであってほしいと考えています。当社では全施設に自家厨房を備え、専属の調理師を配置しています。管理栄養士とも連携し、栄養バランスはもちろん、味や彩り、季節感にもこだわった食事を提供しています。
また、長年にわたって蓄積してきた「嗜好調査」のデータをもとに、35日サイクルでメニューを組んでいます。評判のいいメニューは残しながら、新しいトレンドも取り入れ、少しずつ内容を見直しています。お刺身などを提供する「お楽しみ献立」もあり、入居者様やご家族から好評をいただいています。もちろんきざみ食やミキサー食、医療食など、お身体の状態に応じた食事にも、それぞれの施設の厨房で柔軟に対応しています。
「家族のような対応」と、高い紹介率の背景
川島社長ご自身、長年にわたり介護現場の最前線に立たれていたそうですね。
川島 私は施設で生活相談員を経験した後、支配人を務めるなど、10年近く現場に携わってきました。
入社当初の私は社会人経験も浅く、介護についてもまだまだわからないことばかりでした。それでも、認知症の入居者様と日々接し、会話を重ねるなかで、何を考え、どんな不安や不満を抱いているのかを少しずつ知ることができました。そうした経験は、私の財産です。
経験を重ねるなかで、「入居者様には、家族のように接する」という考えが自分のなかに根付いていきました。もちろん、簡単なことではありません。それでも、スタッフ一人ひとりが「家族のように寄り添う」という基本姿勢を共有することが、日々のケアの質を高め、入居者様やご家族の安心につながっていくと考えています。
入居に至る経緯としては、どのようなきっかけやルートが多いのでしょうか。
川島
実際にご入居いただいた方のご家族やご親戚、近隣の方からご紹介いただくケースが多いです。もともと、ご入居者様の退去される理由として、お亡くなりになられた時が多く、当社はご家族の同意を得てスタッフも葬儀に参加させていただきます。そこでお礼の言葉をいただくことも多く、入居者様の近しい方へのご紹介につながっています。もちろん、実際のケアを見て「ここなら安心できる」と感じていただき、価格の手ごろさと合わせて入居いただいています。
もう一つ多いのが、病院のケースワーカーなど専門職の方々からのご紹介です。急性期病院では、治療を終えた患者様の退院後の受け入れ先を探すケースも多く、その選択肢の一つとして「サニーライフ」を挙げていただいています。
私たちが大切にしているのは、ご入居いただいたらそれで終わりにしないことです。入居後も「今月はこんな風に過ごされています」といった生活の様子を、紹介元のケースワーカーへ定期的にお伝えしています。そうしたコミュニケーションの積み重ねが、「サニーライフなら安心して紹介できる」という専門職の方々との信頼関係につながっているのだと思います。
新体制で挑む、内部改革
首都圏を中心に、特定のエリアに複数の施設を展開することには、どのようなメリットがありますか。


川島 同じエリアに複数の施設があることで、近隣施設同士が連携しやすくなります。感染症の流行など不測の事態が発生した際にはスタッフを相互に融通できますし、地域医療との連携にもメリットがあります。同じ医療機関にエリア内の複数施設を診ていただくことで、入居者様の健康状態などの情報共有がスムーズになり、医師の側にとっても効率的な往診が可能になります。
施設同士で情報を共有し、互いに刺激を受けながらサービスの質を高めていけることも強みです。その一環として先日、全施設を対象に「笑顔を生む施設のアイデアコンテスト」というプレゼン大会を初めて開催しました。施設内で笑顔を増やすための工夫や、スタッフ同士の連携など、それぞれの取り組みを発表してもらうのです。
書類選考から予選、決勝へと進むなかで、手作りの御輿や館内神社を作った施設、外国人スタッフが自国の民族衣装をまとってダンスを披露した施設など、実にさまざまなアイデアが出てきました。興味深かったのは、こうした工夫に積極的な施設ほど、入居率も高い傾向が見られたことです。
各施設で生まれた良い取り組みを、すぐにほかの施設へ横展開できる。これは全国166施設を運営する当社ならではの強みだと思います。
2026年2月に新体制へと移行されましたが、今後、社長として特に注力していく施策は何でしょうか。

川島 まずはスタッフの満足度にフォーカスして参ります。働きやすさはケアの質につながると考えており、一人一人がサニ―ライフの顔として活躍できる体制づくりをして行きたい。これまでの36年間、当社は時代の要請もあり、積極的な出店による規模の拡大に力を入れてきましたが、今後は「働きやすさ」「ICTの活用」「教育」を柱に、組織の足元をより強くしていきたいと考えています。
具体的には、就業規則や休暇制度を刷新しました。365日稼働するシフト制の現場ですが、有給休暇をはじめ各種休暇を取得しやすくし、仕事とプライベートを両立できる環境づくりを進めています。年間休日数も大幅に増やしました。
ICT活用では、これまで現場の負担になっていた手書きの記録業務を、ほぼすべての施設でタブレット端末へ移行しました。事務作業にかかる時間を減らし、その分、入居者様と直接向き合う時間を増やすことが狙いです。現在は、PHSに代わって、両手を自由に使いながらリアルタイムで連携できるインカムの導入を進めているほか、コミック教材を活用したeラーニングなどスマートフォンですき間時間に学べる研修ツールも導入しています。
また、現場の声を経営に生かすことも重視しています。社内に設けた「目安箱」には、スタッフからさまざまな意見や提案が直接届きます。たとえば「空室のウォシュレットの待機電源を切れば光熱費を削減できる」という提案が寄せられた際には、すぐに全施設へ展開しました。良い意見も厳しい意見もきちんと受け止め、現場の声を運営に反映していく。そうしたボトムアップの組織に変えていきたいと考えています。
リートとの「両輪」で支える、持続可能な施設運営
物件の所有と運営を分けることの意義と、リートへの期待をお聞かせください。

川島 私たちは介護施設の運営に力を注いでいますが、不動産の所有や開発は本業ではありませんので、介護事業の特性や社会的な役割を理解したうえで不動産の側面から支えてくれるリートの存在は、非常に心強く感じています。
昨今は建築資材や土地価格が高騰しており、リーズナブルな価格帯を維持しながら、新たな施設を開発していくことは容易ではありません。リートが不動産開発を支え、私たちがその運営を担う。そうした役割分担は、これからの社会保障インフラを支えていくうえでの「車の両輪」であると考えています。
高齢化が進むなか、安心して暮らせる高齢者向け施設へのニーズは今後も高まっていきます。これからも介護運営のプロフェッショナルとして良い施設を運営して参りますので、どうぞご期待ください。
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